永住者

永住者

 「永住者」とは、入管法別表第2に記載の居住資格の在留資格です。永住者は、在留活動(就労活動及び居住活動)に制限が無く、また、在留期間も無制限であり期間更新の必要がありません(ただし、在留カードの更新は必要)。この様に、他の在留資格と比較して、永住者に対しては在留管理が大幅に緩和されます。

永住許可の要件

法律上の3つの要件

 永住許可には、当該外国人に求められる法律上の要件が入管法22条2項各号などで3つ定められており、その要件全てに適合する場合に限り、法務大臣は永住者の許可を与えることができることとなっています。この3つの要件に関する具体的内容は、「永住許可に関するガイドライン」及び「『我が国への貢献』に関するガイドライン」で以下の通り定められています。

  1. 素行が善良であること
  2. 法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

  3. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  4. 日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

  5. 申請した者の永住が日本国の利益に合すると認められること(下記4点により審査)

3の審査基準:

  • 原則として、引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間の内、就労資格(「技能実習」及び「特定技能1号」を除く)又は居住資格をもって引き続き5年以上本邦に在留していることを要する。
  • 罰金刑や懲役刑を受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
  • 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。(※当面の間、在留期間「3年」を有する場合、この規定を満たしているとみなされる。)
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ただし、日本人、永住者及び特別永住者の配偶者又は子である場合、要件1及び2に適合することを要しません。また、難民の認定を受けている者の場合、要件2に適合することを要しません。

 

原則10年在留に関する特例

 上記の法律上の要件3の審査基準の1つである「原則として、引き続き10年以上本邦に在留していること」に関して、特定の在留資格を有する者や、我が国への貢献があると認められる者について在留期間要件が緩和される特例が、「原則10年在留に関する特例」として「永住許可に関するガイドライン」及び「『我が国への貢献』に関するガイドライン」で以下の通り定められています。

  • 「日本人、永住者及び特別永住者の配偶者」の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること、「その実子等」の場合は、1年以上本邦に継続して在留していること
  • 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
  • 「難民の認定を受けた者」の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
  • 「外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者」で、5年以上本邦に在留していること
  • 「高度専門職」の在留資格を有している者で、一定以上のポイント(70点以上又は80点以上)を有する者や「特別高度人材」の基準に該当する者に対して、在留期間要件が緩和される(70点以上の場合、継続して3年以上在留していること、80点以上及び「特別高度人材」の場合、継続して1年以上在留していること)

永住許可申請

 永住者の在留資格を取得する為には「永住許可申請」が必要であり入管法第22条及び22条の2に定められています。永住許可は他の在留資格よりも慎重に審査を行う必要がある為、在留資格変更許可とは別で永住許可申請が規定されています。日本に在留し一定の要件を満たす外国人の方が「永住者」としての在留を希望する場合に、この申請を行うことで入管局によって審査され、法務大臣によって許可が与えられます。その他、「永住者」及び「特別永住者」の子として日本で出生した者は、在留資格取得許可申請を行って「永住者」の在留資格を取得する事ができるという例外があります。
 以下に、「永住許可申請」についての内容を記載します。

 

<永住許可申請の内容>

・手続き対象者

① 日本に在留しており、許可要件を満たす外国人
② 出生等により永住者の在留資格の取得を希望する外国人

・申請期間

(①の外国人):在留期間が満了する日以前(許可申請中に在留期間が満了となる場合、別途在留期間更新許可申請が必要)
(②の外国人):出生その他の事由発生後30日以内

・申請者

1. 申請人本人
2. 代理人(1.の法定代理人)
3. 申請取次者(例:1. が経営している機関又は雇用されている機関の職員、行政書士又は弁護士)

・申請先
申請人本人の住居地を管轄する入管局 ※永住許可申請はオンライン申請の対象外となっています(2023年現在)。
・標準処理期間
4ヶ月
・手数料

許可されるとき8,000円を収入印紙で納付する。(※ ②の外国人による在留資格取得の場合は手数料不要)

必要書類

 申請の際に必要な書類は、申請人の方の在留資格や身分、地位によって異なります。なお、申請に際して、申請人の方の身元保証人が必要です。身元保証人となれる方は、通常、日本に居住する日本人、永住者、又は特別永住者に限られています。ここでは例として、申請人の方が就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」など)、又は「家族滞在」で在留している場合に必要な書類を記載します。

 

必要書類:(※就労関係の在留資格、又は家族滞在で在留している方の場合

  1. 永住許可申請書
  2. 写真(縦4cm×横3cm)1葉
  3. 指定の規格を満たした写真を用意

  4. 理由書
  5. 永住許可が必要である理由について、自由な形式で書く。日本語以外で書く場合には翻訳文も必要。

  6. 身分関係を証明する次のいずれかの資料(※「家族滞在」の方の場合のみ必要)
  7. (1)戸籍謄本(全部事項証明書)
    (2)出生証明書
    (3)婚姻証明書
    (4)認知届の記載事項証明書
    (5)上記(1)~(4)に準ずるもの

  8. 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
  9.  個人番号(マイナンバー)は記載不要。

  10. 申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
  11. (1)会社等に勤務している場合
     在職証明書
    (2)自営業等である場合
     a. 確定申告書控えの写し
     b.営業許可書の写し(有る場合)
    (3)その他の場合
     職業に係る説明書(書式事由)及びその立証資料  

  12. 直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
  13. (1)住民税の納付状況を証明する資料
     ア 直近5年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
     イ 直近5年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)
     直近5年間の全ての期間において、住民税が特別徴収(給与から天引き)されている方の場合、イは不要。

     

    (2)国税の納付状況を証明する資料
     源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
     上記5税目全てに係る納税証明書が必要。

     

    (3)その他
     次のいずれかで、所得を証明するもの
     a.預貯金通帳の写し
     b.上記aに準ずるもの

  14. 申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
  15. (1)直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
     ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
     イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
     申請時の直近2年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方は、「各月の年金記録」の中にある、「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面も併せて必要。
     ウ 国民年金保険料領収証書(写し)
     直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方はア又はイに加えて提出が必要。直近2年間の全ての期間において国民年金に加入していた方で、直近2年間の国民年金保険料領収証書(写し)を提出できる場合、上記ア又はイの資料は不要。

     

    (2) 直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
     ア 健康保険被保険者証(写し)
      直近2年間の全ての期間において引き続き健康保険に加入している方は、イ~エの資料は不要。
     イ 国民健康保険被保険者証(写し)
     ウ 国民健康保険料(税)納付証明書 
     直近2年間において、国民健康保険に加入していた期間がある方は、当該期間分について提出が必要。
     エ 国民健康保険料(税)領収証書(写し)
      直近2年間において、国民健康保険に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)全ての提出が必要。提出が困難な方は、その理由を記載した理由書の提出が必要。

     

    (3)申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
     ア 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
     全ての期間について領収証書(写し)が提出できない方は、下記イ及び管轄の健康保険組合が発行する健康保険組合管掌健康保険料の納付状況を証明する書類の提出が必要。
     イ 社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)

  16. 申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する次のいずれかの資料
  17. (1)預貯金通帳の写し
    (2)不動産の登記事項証明書
    (3)上記(1)及び(2)に準ずるもの

  18. 申請人のパスポート(旅券)又は在留資格証明書(提示)
  19.  提示ができない場合は、その理由を記載した理由書の提出が必要。

  20. 申請人の在留カード(提示)
  21.  資格外活動許可書の交付を受けている方は、資格外活動許可書も併せて提示が必要。

  22. 身元保証に関する資料
  23. (1)身元保証書(※様式有り)
    (2)身元保証人に係る次の資料
     身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証写し等)

  24. 我が国への貢献に係る資料(※有る場合のみ)
  25. (1)表彰状、感謝状、叙勲書等(写し)
    (2)所属会社、大学、団体等の代表者等が作成した推薦状
    (3)その他、各分野において貢献があることに関する資料

  26. 身分を証する文書等(提示)
  27.  申請人本人以外の方が申請書類を提出する場合において、申請書類を提出できる方かどうかを確認するために必要。(※申請取次行政書士であることを証する資料など)

  28. 了解書(※様式有り)
  29.  永住許可申請の審査中に就労状況や家族状況等に変更事由が発生した場合、申請先の入管局に連絡することについての了解書

 

 以上が、永住者と永住許可申請に関する説明です。永住許可を取得することで、外国人の方は在留活動に制限を受けないなど在留管理が緩和され、母国の国籍を有したまま日本に軸を置いて生活することができるというメリットがあります。
 当事務所では、永住者の在留資格取得を希望される外国人の方の申請サポートをさせて頂きます。是非一度、ご連絡ください。

 

参考:
1.出入国在留管理庁, 「永住許可申請」,(2023年8月25日取得, 出入国在留管理庁ホームページ
2.出入国在留管理庁, 「永住許可に関するガイドライン(令和5年4月21日改定)」,(2023年8月18日取得,出入国在留管理庁ホームページ