経営事項審査(経審)とは、建設業許可業者で、公共工事(国または地方公共団体等が発注する建設工事)を発注者から直接請け負おうとする者が受けなければならない審査です。公共工事の受注契約は、ほとんどが入札制度によって行われます。国又は地方公共団体の多くは、この入札への参加に際して、入札希望事業者が「総合評定値」を得ている事を条件としている為、この審査が必要となります。審査は許可を受けている行政庁に申請することで受けることができます。
経営事項審査の申請(請求)書には、主に以下のものがあり、通常同時に申請します。
評価は以下の4つの指標に分かれ、客観的評価のもとに数値化されます。
① 経営規模の認定(X)
注)(X1):「完成工事高」と、(X2):「自己資本額及び利益額」の2つに分かれている。
② 技術力の評価(Z)
③ 社会性の確認(W)
④ 経営状況の分析(Y)
④の経営状況の分析(Y)について必要となる「経営状況分析結果通知書」は、事前に国土交通省に登録された「登録経営状況分析機関」に申請して得ておく必要があります。
上記の経営規模等評価結果通知書の各指標の数値に、法律で定められた係数を掛けて合計した総合得点(総合評定値)を得る為に必要なのが、この総合評定値請求書です。ここで得られた総合評定値は(P)で表され、その会社の持ち点となります。P点は以下の式で算出されます。
総合評定値(P)=0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W
申請に際しては、上記2つの申請書に加えて、必要に応じて以下の書類を提出します。ここでは、兵庫県(知事許可)を例に記載します。申請先の行政庁によって、必要書類や書式等が異なる場合が有りますので、それぞれ確認が必要です。
その他の提出書類一覧(必要に応じて提出):
・表紙(裏面に審査手数料を貼付)
・工事種別完成工事高・工事種類別元請完成工事高(別紙1)
・技術職員名簿(別紙2)
・その他の審査項目(別紙3)
・工事経歴書(様式第二号)(※「工事請負契約書」等の書証の提出が必要です。)
・経営状況分析結果通知書
・建設機械の保有状況一覧表(兵庫県様式第1号)
・技術職員名簿付表(兵庫県様式第2号)
・工事種類別完成工事高付表(様式第1号)
・経理処理の適正を確認した旨の書類(様式第2号)
・継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿(様式第3号)
・CPD単位を取得した技術者名簿(様式第4号)
・技能者名簿(様式第5号)
・建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置を実施した旨の誓約書及び情報共有に関する同意書(様式第6号)
兵庫県の場合、審査は以下の様な流れで進みます。なお、許可行政庁によって、受審方法が異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。また、現在では、電子申請システム(JCIP)を利用した受審が、多くの許可行政庁で取り入れられています。
①予約
まず申請者は、事前に「郵便往復はがき」または「FAX」を許可行政庁(兵庫県の場合、各所管土木事務所)に送付して審査日を予約します。
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②審査指定日の通知、審査
送付後、許可行政庁から審査指定日が通知されるので、申請者はその日に、提出書類及び必要な提示書類を持参して審査を受けます。場合によっては、必要に応じて関係書類の提示や、営業所への立入調査等を実施する場合があります。
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③結果通知
提出書類に訂正等が無い場合、審査日から概ね1カ月後に、経営規模等評価通知書・総合評定値通知書が送付されます。
「経営規模等評価申請書」と「総合評定値請求書」を同時に申請する場合、対象業種1つにつき11,000円となり、業種の数が1つ増すごとに2,500円を加算した額となります(最大で29業種)。(例:3業種なら16,000円)
経営事項審査の結果通知書の有効期限は、結果の通知日からではなく、基準となる決算期末日から1年7カ月です。入札参加資格登録は一定期間で更新が必要ですが、その期間中に審査結果が期限切れとならないように、毎年決算の終了後、経審を受けて、総合評定値(P)を得ておく必要があります。
以上が、経営事項審査(経審)についての手続きの簡単な説明です。経審は、許可を受けている建設業者の方で、公共工事の受注をする為に必要な審査です。当事務所では、建設業許可申請に加えて、経営事項審査申請についてもサポートさせて頂きます。是非一度、ご連絡ください。
参考:
1.兵庫県土木部契約管理課建設業班, 2023, 「経営事項審査要領」, 兵庫県庁, (2023年3月15日取得, 経営事項審査要領)
2.塩田英治, 2022, 改訂版, 「建設業許可・経審・入札参加資格申請ハンドブック」, 第2章(p.165~p.228), 日本法令