日本国籍を取得する原因として、国籍法に定められている「届出」による取得があります。届出による国籍取得には3種類有り、対象の方で一定の要件を満たす方は、法務大臣に届け出ることで日本国籍を取得することができるという制度です。
以下に、それぞれの届出についてご説明します。
日本人父と外国人母が未婚である時に生まれた子は、父から胎児認知を受けている場合を除き、出生時に日本国籍を取得することができません。しかし、その子が出生後に父から認知され、一定の要件を満たしている場合に、届け出ることで日本国籍を取得することができるというもので、国籍法第3条に定められています。この要件を満たしている場合、その子は届出をした時に日本国籍を取得します。
届出方法は、必ず本人(15歳未満のときは法定代理人)が届出先に出向き、届出書を作成し、添付書類を揃えて、全てを書面によって届け出ることが必要です。
日本に住所を有している場合・・・住所地を管轄する法務局又は地方法務局
海外に住所を有している場合(※)・・・日本の大使館又は領事館
(※)本人が海外に住所地を有している場合でも日本に居所を有する場合は、居所地を管轄する法務局又は地方法務局に届け出ることも可能です。
届出書に添付する書類は以下の様なものになりますが、具体的には提出先の法務局・地方法務局、若しくは大使館又は領事館に事前に問い合わせて確認しておくことをお勧めします。なお、外国語で作成された書面には、日本語の訳文の添付が必要です。
(※)やむを得ない理由により3及び4の書類を添付することができないときは、その理由を記載した書類を提出する必要があります。なお、認知の裁判が確定しているときは、3から5までの書類を添付する必要はありません。
日本国籍の取得の原因として、「出生」があり、子の出生時に父又は母が日本国民であれば、その子が外国で生まれたとしてもその時点で日本国籍を取得します(国籍法第2条)。ただし、その子について「日本国籍の留保」をしなければ、日本国籍を失ってしまうことになっています。その場合、一定の要件を満たす場合に、「国籍再取得の届出」をすることによって、再び日本国籍を取得することができるということが定められています。
「国籍の留保」とは、外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と共に外国籍も取得した子は、出生から3ヶ月以内に、外国にある日本の大使館・領事館又は市区町村役場に対して、出生の届出と共に日本国籍を留保する意思表示をするという規定です。留保の意思表示とは、具体的には出生届の用紙中に「日本国籍を留保する」旨の記載をすることです。この届出をしなかった場合、その子は出生時にさかのぼって日本国籍を失うとされています(日本国籍の不留保)(国籍法第12条、戸籍法第104条)。
国籍の不留保によって日本国籍を喪失した者のうち、18歳未満であり、かつ、日本に住所を有しており、日本国籍を取得しようとする者
届出方法は、必ず本人(15歳未満のときは法定代理人)が届出先に出向き、届出書を作成し、添付書類を揃えて、全てを書面によって届け出ることが必要です。
本人の住所地を管轄する法務局又は地方法務局
届出書に添付する書類は以下の様なものになりますが、具体的には提出先の法務局・地方法務局、若しくは大使館又は領事館に事前に問い合わせて確認しておくことをお勧めします。なお、外国語で作成された書面には、日本語の訳文の添付が必要です。また、法定代理人が届出をする場合は、法定代理人の資格を証する書面として、戸籍謄本、法定代理人の指定等に関する裁判書謄本、その他外国人の本国における証明書等が必要となります。
外国で出生した等の理由によって、日本国籍と外国籍を有する人は重国籍者となります。日本では重国籍が認められておらず、重国籍者は一定期間内にどちらかの国籍を選択する必要があります(国籍法第14条)。この期間内に、国籍の選択をしなかった者に対しては、法務大臣が国籍の選択を書面による通知等によって催告することができるとされており、催告を受けた者は、催告の日から1ヶ月以内に日本国籍を選択しなければ、原則としてその期間経過後に日本国籍を失うことと定められています(国籍法第15条)。
18歳に達する以前に重国籍となった者・・・20歳に達するまで
18歳に達した後に重国籍となった者・・・重国籍となったときから2年以内
ただし、これによって日本国籍を喪失した者は、日本国籍を失ったことを知った時から1年以内に法務大臣に対して「国籍再取得の届出」を行うことによって、再び日本国籍を取得することができると定められています。これがその他の場合の国籍の取得のケースです。ただし、日本国籍を取得することで再び重国籍者となってしまう場合には、事前に外国籍の離脱の手続きをしておく必要があります。
以上が、国籍取得届出に関する簡単な説明です。上記の3つのケースのいずれかに当てはまる方で一定の要件を満たす方は、法務大臣に届け出ることで日本国籍を取得することができます。当事務所では、届出書作成や添付書類の収集など、国籍取得に関するサポートをさせて頂きます。是非一度、ご連絡ください。
参考:
1.法務省, 「国籍法第3条による国籍取得の手続き」,(2023年8月8日取得,法務省ホームページ)
2.法務省,「国籍再取得の届出」,(2023年8月9日取得,法務省ホームページ)
3.法務省,「国籍選択の届出」,(2023年8月9日取得,法務省ホームページ)